
埋葬の解剖学 (It's Only a Paper Moon)
2019年
ペン、クラシコファブリアーノ紙、パネル
h.91×w.178.5cm.
作家蔵
Anatomy of Burial (It's Only a Paper Moon)
2019
pen on classico fabriano, mounted on board
h.91×w.178.5cm.
collection of artist


千円札のイメージをキャラクターの集合体によって再現したこの作品は、アーティスト赤瀬川原平(1937-2014)の『復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)』という作品のオマージュとして制作した。『復讐の~』は当時流通していた聖徳太子千円札を三六判(約180×90cm)程度の大きさに拡大し、ペンで模写した作品で(私の千円札のサイズはこの作品に合わせている)、有名な千円札裁判を巻き起こした原寸大模造千円札の源流にあたる美術史的にも重要な作品である。赤瀬川氏は千円札を執拗に観察し緻密に模写することで、権力の象徴としての紙幣というものの価値を殺そうとした。しかし約半世紀が経過した今日では、キャッシュレスや仮想通貨の台頭によって、紙幣の象徴性や神話性は既に死んでいるとも言える。死んでしまった千円札を私の制作スタイルでリプロダクトし(解剖し埋葬する)、赤瀬川版千円札と対比させることによって、時代の変化による紙幣価値の移り変わりを描出しようと試みた。副題のIt's Only a Paper Moonは90年近く前のアメリカの流行曲から拝借。天下の回り物と言われるように人や社会の周りを回り巡っている貨幣を地球の周りを公転する月に見立てた。まさに紙幣とは紙の月ということになるであろう。 |